マンションの構造の違いで耐震性は変わる?新耐震基準の確認方法を専門家が解説

大きな地震が続く中で、購入予定のマンションの構造の違いや耐震性が気になる方は多いのではないでしょうか。
同じマンションでも、構造の種類や階数、形状によって地震への強さは大きく異なります。
さらに、旧耐震と新耐震基準のどちらに当てはまるかによって、想定されている揺れや損傷のイメージも変わってきます。
そこで本記事では、新耐震基準かどうかの確認方法や、建築確認日・公的書類・耐震診断のチェックポイントをわかりやすく解説します。
あわせて、災害リスクを少しでも減らすためのマンション選びの考え方もお伝えしますので、購入や住み替えを検討している方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

マンション構造の違いと耐震性の基礎知識

分譲マンションで広く採用されている構造として、柱と梁で骨組みをつくるラーメン構造と、厚い壁と床の面で支える壁式構造があります。
ラーメン構造は、柱と梁がしなやかに変形して地震の力を受け止める仕組みで、中高層のマンションに多く用いられています。
一方、壁式構造は、耐力壁が多く配置されるため、建物全体で地震力を分散しやすく、低層のマンションで高い耐震性が期待できる構造とされています。
また、実際にはラーメン構造に耐震壁を組み合わせた形式などもあり、設計の工夫によって耐震性能を高めている事例が多くみられます。

マンションの耐震性は、構造形式だけでなく、階数や建物の形状、開口部の大きさなど、さまざまな条件が組み合わさって決まります。
例えば、長辺と短辺のバランスが悪く極端に細長い形状や、一部の階だけ壁量が少ない形状は、地震時に揺れが偏りやすいと指摘されています。
また、1階部分を駐車場などのピロティとして開放し、上階との剛性差が大きくなる計画は、過去の地震でも被害事例が報告されており、構造設計で十分な補強が求められています。
このように、同じ構造種別であっても、階数や平面計画によって耐震上の特徴が変わることを理解しておくことが大切です。

耐震性を考える際には、建物の「構造種別」とあわせて、「耐震構造」「制震構造」「免震構造」といった地震対策の考え方も確認しておくと安心です。
耐震構造は、柱や梁、壁を強くし、変形に耐えることで建物の倒壊を防ぐ一般的な構造方式です。
制震構造は、ダンパーなどの装置を組み込み、揺れのエネルギーを吸収して建物全体の変形や揺れ幅を抑える考え方です。
免震構造は、建物と地盤の間に免震装置を設置し、地震動そのものを建物に直接伝えにくくする方式で、強い揺れに対しても室内の揺れを大きく軽減できるとされています。

構造・方式 主な特徴 揺れ方のイメージ
ラーメン構造 柱梁で支える骨組み構造 しなって揺れを受け止める
壁式構造 壁と床の面で支える構造 建物全体で力を分散する
耐震構造 部材を強くして倒壊を防止 揺れは大きいが倒れにくい
制震構造 装置で揺れのエネルギー吸収 揺れ幅を小さく抑える
免震構造 地盤と建物を絶縁する方式 ゆっくり大きく揺れる

旧耐震と新耐震基準の違いと地震リスクへの影響

現在の新耐震基準は、建築基準法施行令が改正された1981年6月以降に適用されており、それ以前の基準がいわゆる旧耐震基準とされています。
新耐震基準では、震度6強から7程度の大規模地震でも建物が倒壊・崩壊しないことが目標とされ、耐震設計の考え方が大きく見直されました。
その後も1995年の大地震などを踏まえて耐震規定の細かな見直しが行われ、耐力壁の配置やバランスなどがより厳しく求められています。
このような改正の積み重ねにより、年々求められる耐震性能は高くなっているといえます。

旧耐震基準は、中小地震で損傷しないことと、大地震での倒壊防止について現在よりも簡易な想定に基づき設計されていたため、想定外の強い揺れでは大きな被害が出るおそれがあります。
一方で新耐震基準は、震度6強から7程度の非常に強い揺れを受けても倒壊・崩壊を避け、人命を守ることを重視した性能を求められています。
実際に大規模地震では、旧耐震基準の建物の被害が新耐震基準の建物より大きかったことが各種調査で確認されています。
この違いを理解しておくことで、マンション選びの際にどの程度の揺れを想定した建物なのかを意識しやすくなります。

旧耐震基準で建てられたマンションは、設計時点で想定していた地震動が現在の基準より小さいため、強い揺れに対して構造的な弱点を抱えている可能性があります。
特に、柱や壁の配置バランスが悪い建物や、耐力壁が不足している建物では、地震時に構造全体の変形が大きくなりやすいとされています。
そのため、公的な耐震診断を受けたうえで必要な補強を行うなど、早めに耐震化に取り組むことが重要です。
将来の大規模地震に備えるうえでは、旧耐震マンションのまま放置せず、段階的にでも耐震性能を高める計画を検討することが安心につながります。

区分 主な想定地震動 主なリスク
旧耐震基準 現在より小さい揺れ 倒壊・大破の可能性
新耐震基準 震度6強〜7程度 大破は避ける前提
耐震化済み旧耐震 診断結果に応じた揺れ 被害軽減と安全性向上

マンションが新耐震基準か確認する具体的な方法

まず、新耐震基準かどうかを判断する際は「建築確認日」に注目することが重要です。
国土交通省の資料では、建築基準法に基づく新しい耐震基準は1981年6月1日以降に適用されたとされています。
そのため、竣工年だけで判断せず、建築確認を受けた日付が1981年5月31日以前か、6月1日以降かを確認する必要があります。
建築確認日と竣工年の両方を照らし合わせることで、より確実に新耐震基準かどうかを見極めやすくなります。

次に、公的な書類を通じて新耐震基準への適合状況を確認する方法があります。
国土交通省の長期優良住宅化リフォーム推進事業の資料では、確認済証・添付図書及び検査済証、あるいは建設住宅性能評価書などにより、新築時に新耐震基準に適合していることを確認する手順が示されています。
また、建築確認済証の添付図書で建築確認日が1981年6月1日以降であり、現地調査で図面と現況に相違がないことも確認事項とされています。
検査済証の代わりに台帳記載事項証明書や旧住宅金融公庫、住宅金融支援機構の適合証明書等で完了検査を受けていることを確認する方法もあります。

さらに、築年数が古いマンションなどでは、耐震診断結果や耐震基準適合証明書を確認することも有効です。
東京都の耐震ポータルサイトなどでは、耐震診断によって算出される構造耐震指標Is値を用いて耐震性能を評価し、Is値が0.6以上あれば倒壊や崩壊の危険性が低いと判断する目安が示されています。
また、耐震改修促進法に基づく告示でも、震度6~7程度の地震に対する安全性の判定にIs値が用いられており、0.6未満の場合は耐震補強の必要性があるとされています。
耐震診断報告書や耐震基準適合証明書を確認する際は、Is値や診断の実施時期、対象となった建物範囲なども併せて確認することが大切です。

確認項目 主なチェック資料 確認時のポイント
新耐震基準適用時期 建築確認済証・添付図書 建築確認日が1981年6月1日以降
完了検査の有無 検査済証・台帳記載事項証明書 完了検査を受けているかどうか
耐震性能の水準 耐震診断報告書・適合証明書 Is値0.6以上か補強の要否

災害リスクを減らすためのマンション選びと相談のポイント

まず確認したいのは、建物の耐震性だけでなく、土地そのものの災害リスクです。
国や自治体が公表しているハザードマップでは、洪水・内水氾濫・土砂災害・津波など、自然災害ごとの浸水範囲や危険度が色分けされています。
また、国土交通省は液状化ハザードマップ作成の手引きなどを通じて地盤リスクの見える化を進めています。
候補となるマンション周辺の災害リスクを複数のハザードマップで重ねて確認し、避難経路や避難場所も合わせて把握しておくことが大切です。

次に重視したいのが、管理状況と長期修繕計画です。
国土交通省は、適切な管理体制や長期修繕計画、修繕積立金の確保が、マンションの安全性と資産価値の維持に不可欠であると位置付けています。
管理組合の総会議事録や長期修繕計画書、直近の大規模修繕工事の内容を確認することで、耐震改修や防災対策への取組状況を推測できます。
とくに旧耐震基準の建物では、耐震診断結果に基づく改修方針が長期修繕計画に反映されているかどうかが重要な確認ポイントになります。

不安な点がある場合は、早めに専門家や不動産会社へ相談することをおすすめします。
公益財団法人や建築士会、日本建築構造技術者協会などでは、耐震診断や耐震改修に関する相談窓口を設けており、建物の安全性に関する助言を受けることができます。
相談の際には、建築確認日や竣工年、構造種別、耐震診断の有無、長期修繕計画書、管理組合の連絡先などの資料を事前に整理しておくと、具体的なアドバイスを得やすくなります。
これらの情報を準備し、どの程度の地震動を想定した設計か、耐震改修の予定はあるかなどを中心に質問すると良いでしょう。

確認項目 具体的な内容 重視する理由
ハザードマップ確認 洪水・液状化・土砂災害の危険度 立地由来の災害リスク把握
管理状況と修繕計画 長期修繕計画と修繕積立金 将来の耐震性と安全性確保
専門家への相談準備 図面・診断結果・議事録 的確な耐震診断と助言取得

まとめ

マンションの構造や新耐震基準かどうかを正しく理解することは、ご自身と家族の安全を守るうえでとても重要です。
建築確認日や竣工年、公的書類、耐震診断の結果などを総合的にチェックすることで、おおまかな耐震性の目安をつかむことができます。
ただ、専門用語も多く、個人だけで判断するのは難しい場面も少なくありません。
当社では、気になるマンションの構造や新耐震基準の確認方法、災害リスクの見方まで丁寧にご説明しています。
「このマンションは安全性の面で大丈夫か知りたい」「購入前に耐震性を詳しく確認したい」とお考えの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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